December 20, 2004

◆徳山ダム来年度予算に抗議する

徳山ダム建設中止を求める会様から連絡頂きました。以下転載させて頂きます。
声  明
〜地域住民の一日千秋の思いを裏切って捻出された04年度徳山ダム事業費追加分。その説明すらなしに、巨額の予算を徳山ダムにつけることに強く抗議する〜
2004年12月20日
徳山ダム建設中止を求める会代表 上田武夫
連絡先:事務局・近藤ゆり子
〒503-0875 大垣市田町1−20−1
TEL/FAX 0594-78-4119

 20日に発表された来年度予算では、徳山ダム事業費は、実に260億円の巨額な予算となった。
 04年度徳山ダム追加予算につき、まともな説明を逃げ回ったまま、このような巨額な予算を計上したことにつき、財務省及び国交省に対し強く抗議する。
 必要な河川改修等を怠って「ダム」に巨額な予算を投入することは、流域住民の安全を著しく損なうものである。
 04年度の徳山ダム事業費当初予算は93億円であった。これでは工事は止まる。国交省と水機構はなりふり構わぬ違法・脱法を積み重ねて徳山ダム事業実施計画変更(04.4.15。事業費3500億円)を行った。そして7月22日(「第2回」。11月15日の「第3回」は未だ数字も示していない)、治水特別会計という官僚独裁を支えるポケットの中で徳山ダム事業費を捻り出した。
 どこを削ったのか? 4ヶ月待たさてその答えの一端が明らかになった。
削られた「一般河川改修 木曽川(上流)1,889,000(千円)」は、
1. 河川改修事業:木曽川(上流)のうちの(揖斐川)の「牧田川・杭瀬川」の部分。
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・ 大垣市横曽根地先において、杭瀬川の洪水疎通能力を増すため河道掘削及び低水護岸工事を推進する。
・ 養老町江月地先において、杭瀬川の洪水疎通能力を増すため河道掘削、旧堤撤去、低水護岸及び高水護岸工事を推進する。
・ 養老町船付地先において、牧田川の洪水疎通能力を増すため背割堤の築堤、低水護岸及び高水護岸工事を推進する。
・ 輪之内町塩喰地先において、杭瀬川・牧田川の洪水疎通能力を増すため背割堤の築堤、低水護岸及び高水護岸を推進する。
・ 大垣市野口地先において、杭瀬川の築堤工事を推進する。
・ 養老町根古地地先において、牧田川の堤防補強工事を実施する。
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 まさに「あの場所」(荒崎地区)に係る河川改修費を削ったのである!!!
 02年7月の6号台風で大被害を受け、04年8月9日に179世帯が提訴し、その第1回口頭弁論前の0月20日に23号台風で、実に16回目の浸水被害を受けた、「あの場所」。杭瀬川の洪水疎通能力の増大、堤防強化は牧田川圏域住民の「一日千秋の思いの悲願」なのである。こうした工事が「徳山ダムを優先するから、後回し」にされるとは、地域住民は、よもや考えていなかったであろう。
 04年の相次いだ水害は「ダムで洪水は防げない」ことを明らかにした。山林のことはおくとしても(「山林のことは農水省」と国交省は逃げる)、弱いままの堤防、放っておかれる河道・・・「ダム優先治水」こそが災害をもたらしたのだ。
 たとえ、徳山ダムが洪水調節に有効であるとしても、数々の水害訴訟で河川管理者が水戸黄門の印籠のごとく持ち出す大東水害訴訟最高裁判決にあるごとく「治水には財政的制約がある」。最も優先されるべきは横山ダムの上流に巨大ダムを作ることなのか?
 そもそも「徳山ダムの洪水調節分は約600億円であるから費用対効果が良い」としてきた説明(1996年徳山ダム審)は、「3500億円の治水ダム」に変貌したときに破綻したではないか。
「ダム優先の治水」は完全に時代遅れである。
 「ダムは、自然環境に及ぼす影響が大きいことなどのため、原則として建設しないものとし、考えられるすべての実行可能な代替案の検討のもとで、ダム以外に実行可能で有効な方法がないということが客観的に認められ、かつ住民団体・地域組織などを含む住民の社会的合意が得られた場合にかぎり建設するものとする」(淀川水系流域委員会:「提言」03.1.17)
 「財政的制約」は強まる一方である。河川局技術職員の誰一人信じていない「本川最上流部のダムによる洪水調節が最も効果的」という神話のために巨額な予算を費やし、必要な堤防改修や河道整備を怠るのはやめよ。公務員としての義務を全うしようとするなら、このような流域住民の安全を無視した「予算」はありえない。
 04年度の「予算を削られた河川改修事業」の説明をきちんとするのが先である。 その説明責任を果たすまで、財務省−国交省は原案から徳山ダム事業費をいったん削除せよ。
 揖斐川流域住民を中心とする当会は、この「260億円」徳山ダム事業費予算に、改めて強く抗議する。
以上
追記:(1)徳山村の人々の権利と思いを蹂躙する岐阜県と水資源機構の「公有地化事業」に関してあえて触れていない。
(2)杭瀬川・牧田川の河川改修事業については「保留解除の措置により年度全体として工事の進捗に遅れはない」という口頭の「説明」を受けている。
 しかし「年度全体として遅れはない」というが、7月22日以降に台風23号による浸水被害があったのである。「関係ない」といえるかどうか、明確な説明が必要なはずだが、20日13時現在その「説明をいつするか」の連絡もない。

18:40:02 | harurin | comments(0) | TrackBacks