April 22, 2006

◆アユの遡上を助けるためダムの水を放流

リバーポリシーネットワーク様から連絡いただきました。以下転載させていただきます。
”アユの遡上を助けるためダムの水を放流” という画期的なニュースが入ってきました。環境回復への対策としては全国で始めての試みです。矢作川を守りたい、天然アユを守りたいという漁協の方たちの熱い思いが伝わってきます。
矢作川漁協が中部電力とどのような河川環境定期協議会を重ねていったのか、また矢作川研究所、矢作川アユ調査会がどのような役割を果たしてきたのか。全国の川をリードしていく矢作川に私たちも注目したいと思います。
5月6日(土)の国際シンポジウムでは矢作川と天竜川から漁協組合長のお2人が出席してくださいます。また矢作川アユ調査会を技術指導してこられた高橋勇夫氏も講演してくださいます。ワイルドサーモンセンターの研究者も北海道のイトウの調査を終えてシンポに参加し、その後矢作川に視察に行きます。是非皆様もこのシンポジウムにご参加ください。
<今日のお知らせ>
●朝日新聞 4月18日 朝刊(一面)
 「アユ遡上お助け  渇水時ダム放流矢作川 中電、200万立方メートルを確保」
●5月6日(土)国際シンポジウムのお知らせ
 「ワイルドサーモンと天然アユ-回遊魚を守るということ」
●今回のシンポに関する本の紹介
 『ここまでわかった アユの本』高橋勇夫+東 建作 著 
 『環境漁協宣言』矢作川漁協100年史編集委員会 著
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朝日新聞 4月18日 朝刊(一面)
アユ遡上お助け  渇水時ダム放流 矢作川 中電、200万立方メートルを確保
 長野県を水源に岐阜、愛知両県を流れる矢作川のアユ遡上(そじょう)を助けるため中部電力(本店・名古屋市)は今季から、矢作ダム(愛知県豊田市)の貯水量の一部を別枠で取り置いて、渇水時に放流できるようにする。最大200万立方メートル。電力会社の裁量でためた水をアユに役立てるのは、全国で初めてという。川の水枯れは各地で問題となっており、新たな環境回復の手法として注目を集めそうだ。     (伊藤智章)
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 今月下旬から来月にかけての遡上ピークに向けて中電は、農業用用水など既存の利水者分とは別に、ダムの高さ1メートル分、約200万立法メートルの水を確保しておく。下流が水枯れ状態となり、アユが遡上できないと矢作川漁協(同市)から連絡があった場合に放流、川に流れを取り戻す。3日置きに流すなど方法も工夫する。
 ダムの水位目標は、中電が農業用水など利水者らと協議し、時期に応じて定める。目標の水位と満水位までの範囲内で、中電は、発電需要や雨量見通しに応じて、ためる量を調整している。今月下旬時点では高さ4メートル分。うち1メートルをアユにあてる。
 中電にとって調整幅が小さくなると、発電に使えるはずの水を急な大雨の時などに無駄に流すリスクが大きくなる。
 矢作川の水は、年間流量の4割が農業、工業などに使われる。近年は2年に1度の割合で渇水が起き、水枯れが度々発生。同漁協はその都度、遡上できないアユを捕らえ、トラックで上流に運んでいる。同漁協は不漁対策として、貯水の一部を融通するよう中電に要望していた。
 中電は「リスクはあるが環境回復に役立つなら、と決めた。発電や利水に影響の出ない範囲でできる限り協力する」(岡崎支店)という。ほかの生物の生息環境にも好影響が期待される。
 全国で水枯れが問題となり、国も97年ごろから一部のダムで洪水対策の容量を利用し、試験放流している。国土交通省河川環境課は「環境のためとはいえ、農業、工業用水の権利を削ることはできない。電力会社が裁量分からアユ遡上のために放流する手法は聞いたことがない。画期的だ」としている。


10:24:31 | harurin | comments(0) | TrackBacks